“【イベントレポート】創業105年・キーコーヒーに学ぶファンマーケティングとEC設計”

about
大正9(1920)創業。キーコーヒーグループは、海外における農園事業からコーヒーの製造・販売まで、コーヒーに関する事業を幅広く展開しています。
レギュラーコーヒーを中心に、インスタントコーヒー、飲料、ギフト商品を取り扱うほか、
法人向けには食材や器具なども提供しており、小売店・喫茶店・ホテル・飲料メーカーなど多様な取引先を持っています。
item
飲料 , 食品 , レビュー , UGC , 動画 , スタッフ投稿


本記事では、2026年6月11日(木)に開催された、セミナーの内容を一部抜粋しお届けいたします。
今回は、株式会社キーコーヒー 菅生 瑛子 氏をゲストに迎え、
ファンマーケティングとEC設計のお取組みについてお話を伺いました。

◼︎speaker

株式会社キーコーヒー
マーケティング本部 市場戦略部 カスタマーリレーションチーム 
菅生 瑛子

◼︎moderator
株式会社 visumo
ソリューションディビジョン セールスセクション セクションチーフ
江口 亜衣

 

顧客接点をつなぎ、
ファンとの関係を育てる仕組みづくり

 

同社では、コロナ禍によるEC需要の高まりをきっかけに、デジタル領域の強化を段階的に進めてきました。
2022年には公式オンラインショップを大規模リニューアル。その後も、コーヒーセミナー予約システムとの会員ID統合や直営ショップとのポイント共通化、コミュニティサイトの刷新など、顧客接点を横断的につなぐための基盤整備を推進しています。

こうした取り組みの背景には、「商品を販売する場」としてだけではなく、お客様との継続的な関係を築く接点としてECを活用する考え方があります。

2025年には、コミュニティサイトのリニューアルを実施。以前は外部プラットフォーム上で運営されていたコミュニティを、自社ドメイン内のコンテンツとして新たに構築し、既存顧客とのエンゲージメント向上を目的とした場へ刷新。オンラインショップや店舗、コーヒーセミナーなど複数の接点を持つお客様が、ブランドとの関係を深められる場所として再設計しています。

その結果、ファンコミュニティ内の平均アクティブ率はリニューアル前と比較して約5倍に向上しています。

また、ファンコミュニティ運営においては、運営担当者やセミナー講師が、お客様の投稿に直接返信するなど、「人と人とのコミュニケーション」を重視した取り組みも行われています。
さらに、お客様から寄せられた意見や要望を各サービス改善や企画に反映することで、「ファンコミュニティへ参加する価値」や「自分の声が届く実感」を生み出している点も特徴的です。

単なる販促施策ではなく、ブランドとお客様が一緒にコミュニティを育てていく。その姿勢こそが、長期的なファン育成につながっているのだと感じます。

コンテンツで商品の魅力を伝え、
購買体験を豊かにする

同社では、コンテンツマーケティングの取り組みも強化しています。
背景として、コーヒーは味や香り、飲用シーンといった体験価値が重要な商品にもかかわらず、EC上では実際にそれらを味わうことができず、商品スペックや説明文だけでは魅力が伝わりにくいという課題があったためです。
具体的に取り組まれているコンテンツとしては、HowTo動画をはじめとした動画や社員やセミナー講師によるスタッフ投稿、お客様のSNS投稿を活用したコンテンツ、記事コンテンツなど、多岐にわたります。

これらのコンテンツは単独で存在するのではなく、EC上で商品と自然につながる形で設計されており、ユーザーが商品への理解を深めながら購入検討を進められる環境が整えられています。

こういったコンテンツは社内で企画・制作を行い、継続的に改善を重ねています。
新規顧客向けのコンテンツ、既存顧客向けのコンテンツなど、目的ごとに企画を分けながら運用することで、より効果的なコミュニケーション設計を実現しています。

こうしたコンテンツマーケティングの取り組みの成果として、動画コンテンツ経由のCVRはコンテンツを経由していない場合と比較して、3倍以上という結果が出ています。

それ以外にも、売上上位の商品詳細ページではHowTo動画をはじめ、商品選びや飲用体験の参考となる動画コンテンツを積極的に掲載することで既存顧客のリピートや単価アップにもつながっています。

さらに、InstagramやXに投稿されたUGC(ユーザー生成コンテンツ)も積極的に活用しています。
店舗利用者やセミナー参加者の投稿など、リアルな体験が伝わる一次情報を収集し、商品詳細ページやファンコミュニティ内などの箇所へ掲載しています。

企業が発信する情報だけでなく、実際のお客様による体験談や投稿をはじめとする一次情報を取り入れることで、購入を検討するユーザーに安心感や共感を提供できる点も大きな特徴です。


 

新規獲得とファン化を両立する
ブランド体験設計

同社では、新規ユーザーを「既存サービスからファンコミュニティへ流入するユーザー」と「ファンコミュニティをきっかけにブランドと出会うユーザー」の2つの定義に分けて考えています。
それぞれの行動や接点に合わせて導線を設計することで、新規獲得とファン化の両立を目指しています。

例えば、オンラインショップの購入完了画面やマイページ、セミナーの詳細ページ、直営ショップで利用するデジタル会員証など、さまざまな場所からファンコミュニティへ誘導できる仕組みとなっています。

また、ファンコミュニティ内での活動に応じて付与される「アクションマイル」は、共通ポイントとして他サービスでも利用できる設計となっており、サービスの横断利用を促進しています。
こうした取り組みから見えてくるのは、「顧客接点を増やすこと」だけではなく、「接点同士をつなげること」の重要性です。
オンラインショップ、店舗、セミナー、コミュニティサイト、SNS、それぞれを個別の施策として運用するのではなく、一貫した顧客体験として設計することで、お客様との関係性はより深く、長く続くものになります。