“【イベントレポート】商品+αの価値を届ける-SHIPS流、全体最適の各チャネル戦略-”

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1952年に創設された衣料品や衣料品関連商材の企画・製造及び小売販売を行うアパレル企業です。同社を代表する、「STYLISH STANDARD」をコンセプトとするセレクトショップ「SHIPS」を軸に、その関連レーベルの運営を行っています。
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アパレル , スタッフスタイリング , レビュー , UGC , 動画


本記事では、2026年1月30日(金)に開催された、セミナーの内容を一部抜粋しお届けいたします。
今回は、株式会社シップス 茅野 充宏 氏をゲストに迎え、
「商品+αの価値を届ける-SHIPS流、全体最適の各チャネル戦略-」についてお話を伺いました。

◼︎speaker
株式会社シップス
DX本部 DX部 デジタルマーケティング課 課長

茅野 充宏 様

◼︎moderator
株式会社 visumo
執行役員 / ゼネラルマネージャー

吉岡 真宏

 

設立50周年を起点としたブランド進化と組織の取り組み

SHIPSは昨年設立50周年を迎え、「最高の普通を創造する」「進化する老舗」という理念のもと、2025年新たな挑戦をしてきました。

記念商品や特設サイトの制作、過去の歴史の中で起こった出来事のコラム化をはじめ、顧客との店舗交流イベント、キャンペーンの様子をオンラインでも紹介し、リアルとデジタルを横断した取り組みを1年間続けてきました。

特にSNSや店頭と連動したハッシュタグ企画では、社内外からの投稿を募り、優れた投稿を社内パーティーで表彰するコンペ形式を採用。組織全体を巻き込んだ周年施策で社内活性化にもつながっています。

さらに、50周年中に実現された「ドラゴンクエストⅦ」とのIPコラボのように、話題性とブランド親和性を両立させた企画にも挑戦。従来のイメージに囚われず、社内の提案を起点に実現したコラボは、新規顧客との接点創出やブランド認知の拡大に大きく寄与しました。

チャネル戦略全体像

SHIPSの売上構成は、自社ECが約1割、モールが約3割、実店舗が約6割  となっており、それぞれに明確な役割を持たせたチャネル戦略を行なっています。
モールはSHIPSを知ってもらうための入口、自社ECはブランド体験と利益を生み出す中核、実店舗はSHIPSの強みでもある接客力と信頼を体現する場として位置づけられています。

自社ECの高い構成比率を保つために、モールでのキャンペーンやタイムセールを見直し、利益率を意識した運営へと転換。クーポン施策に依存しすぎない構造にしました。2024年7月には自社EC物流の内製化も行うことで、コスト改善に取り組んでいます。

チャネル全体ではOMOを意識した店舗とECの連携強化がポイントとなっており、ECと店舗の在庫を可視化した上で、どのチャネルでも同じ体験を提供できるようにしています。  


 

SHIPSを支える3つの強み

こういったチャネル戦略全体を支えているのが、SHIPSの3つの強みです。

『上質さと実用性を両立した商品力』
SHIPSのメインユーザー層である40-50代の顧客が求める、社会的立場やライフスタイルに寄り添い、品質と価格のバランスが取れた「安心して着られる商品」を提供しています。また、若年層向けのブランドとして立ち上げた『City Ambient Products』というレーベルは『SHIPS』の名に頼らない、現在注力を入れているブランドの一つです。

『ライフスタイルを提案する編集力・スタイリング力』
スタッフの高い接客力やスタイリング提案が、SNSや店舗を通じてブランド価値として蓄積されています。

『信頼と共感を積み重ねてきたブランド資産と顧客基盤』
設立から50年という歴史に加え、長期的なCRMの取り組みやID基盤整備がSHIPSを支える土台となっており、顧客への信頼感に繋がっています。

充実した顧客体験を提供するための
社内の取り組み

一貫した顧客体験を提供するためには、情報共有やコミュニケーションの場が不可欠だと考え、商品部、CRM担当やPR担当、店舗責任者などが一同に揃い、定期的な戦略会議を設けています。

内容としては、商品部の販促計画提案・webコンテンツの作成・広告運用・アプリ設計や、メルマガ配信に至るまで、最終的に商品企画に基づく訴求内容を店舗スタッフまで浸透させ、顧客の元に商品が届くまでの設計を徹底しています。

また、ブランドの価値をより最適な形で伝えるためにSNSやレビューの活用をはじめとするコンテンツの拡充にも力を入れています。
SNSは、Instagramを中心にスタッフ投稿の強化に取り組み、発信の質の向上に努めるとともに、フォロワー数などに応じた評価制度を導入予定で、発信の量も増やしていく計画です。

スタッフ投稿をはじめ、Instagramに掲載している公式投稿やInstagramライブのアーカイブ配信等の動画コンテンツは、すべて『visumo』へ集約しています。これらのコンテンツを、シームレスにECサイトや公式アプリなどに掲載することで、SNSとECの連携を行い、SHIPSの目指す一貫した顧客体験を後押ししています。

その中でも、商品詳細ページに掲載している商品の着用動画は、動画がない場合の数値に比べて、CVRが平均2.5倍まで伸長しました。

加えてレビュー活用の側面においても、『ReviCo』導入後にCVR向上を実感しており、顧客の声を商品改善や販促に活かす重要な要素として位置づけています。

商品詳細ページに星評価と件数を表示することで、購入時の不安を軽減し、CVR向上を狙うと同時に、集まったレビューを商品開発やサイト改善、店舗接客にも活用。導入後はレビュー閲覧ユーザーのCVRは、非閲覧ユーザー比で3.43倍という実績に繋がっています。 

 

今後の展望
設立51周年目を迎えて

短期・中期・長期目標と段階を分けたマーケティング戦略を考えています。

短期的には広告による売上拡大、中期的にはSEO・MEOの強化、長期的にはSNSによるブランド浸透を目指しています。また、これまであまり挑戦していなかったアプリ広告での新規獲得や、CRMとMAによるF2転換の強化、LINE経由の売り上げ拡大にも注力し、EC全体の成長エンジンを多層化する構想を考えています。

そのために、個別にパーソナライズされた体験を提供する『レコメンド』をはじめとする生成AIの活用、CDP整備を進め、広告配信やMAだけでなく、経営判断に活用できるデータ基盤を構築していく予定です。
 

これらの取り組みを通じて、SHIPSは「最高の普通を創造する」「進化する老舗」として、次の50年に向けた成長基盤を着実に築きたいと考えています。